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Tatsuya Oiwa @tatsuyaoiw

エンジニアが世界で通用するレベルの英語を身につけるまで

この記事は、NewsPicks Advent Calendar 2018 の2日目の記事です。

はじめに

こんばんは。NewsPicksでソフトウェアエンジニアをしている@tatsuyaoiwです。NewsPicksに入社して今日でちょうど9ヶ月が経ちました。

入社して以来一貫してアメリカ版NewsPicksの開発を担当していましたが、今年の7月にNewsPicksの親会社であるUzabase(ユーザベース)がアメリカの経済メディアQuartzを買収したことをきっかけに、現在はQuartzの会員システムやコミュニティ、ニュースキュレーションなどの機能のサーバーサイドを中心に日々開発を行なっています。NewsPicksとQuartzの関係性については、こちらの記事に詳しく書かれています。

さて、Advent Calendarに参加するにあたって、本来であればNewsPicksで使っている技術や、NewsPicksならではの文化などについて書くのが王道なのかなと思います。僕も最初は「細かすぎて誰も使わないLombokアノテーション3選」や「AWS Lambdaで有料課金サービス作ろうとしたけどやめた話」などを書こうかなどと考えていました。が、たぶん似たような話はすでにQiitaとかで沢山書かれてるだろうし、何かこうもっと自分だけにしか語れない内容のほうがウケがいいのでは、と思い至り、僕がNewsPicksで働き始めてから一番聞かれることの多かった質問である「どうやって英語を勉強したんですか?」に対する回答を、突然ここで書きしたためていきたいと思います。

英語力

僕の現在の英語力なんですが、ざっくり言うと、

  • 英語で日々の業務をこなせる(要件定義、設計、実装、コードレビューを他のメンバーと協力して進められる)
  • 英語で技術面接を受けられる(たまに合格できる)または面接官として面接できる
  • 日英の簡単な翻訳をリアルタイムでできる

という感じかなと思います。これだけ見るとなんだか凄そうな人に見えてしまいますが、逆に日常生活では案外苦労することもあって、例えば、

  • SHAKE SHACKで頼んだはずのものと全く違うものが出てくる
  • レジでTipとChipの違いを聞き取れず苦戦する(Tip?と聞かれたと思ってチップを払おうとしたら実はクレジットカードがIC Chip入りかどうかを聞かれていた)
  • 知識や関心のない話題についていけない(政治とか映画とかその他諸々)

といったことは多々あります。つまり、最低限ソフトウェアエンジニアとして面接を受け、日々の業務をこなし、同僚と雑談したりといったことは問題なくできるもののネイティブには程遠い、いわゆるビジネスレベルの英語力というのが表現としては近いかもしれません。

やったこと

というわけで、現在の英語レベルに至るまでにやってきたことを順番に書いてみます。

  • 英語を勉強する覚悟を決める
  • 会社の同期が立ち上げた英会話サークルに参加してみる
  • サンフランシスコで3ヶ月くらい働いてみる
  • 半分外国人のチームで3年くらい働いてみる
  • 外資系の企業に転職して2年くらい英語だけで働いてみる
  • 東京ニューヨーク間14時間時差ありリモートで働いてみる

英語を勉強する覚悟を決める

子供の頃はスポーツ選手や宇宙飛行士がカッコいいなあと思っていて、サッカーワールドカップを見たりアルマゲドンを観たりしながら、将来世界で活躍するためには英語ができた方がいいなあ、と漠然と思っていました。

そんな思いが少し具体化したのが大学4年生の時で、梅田望夫さんの「ウェブ進化論」や林信行さんの「進化するグーグル」などの本を読んで、高まる気持ちを抑えきれずにMountain ViewにあるGoogle本社にバックパックひとつで突撃訪問し、ああこういう先進的な会社で働くためには今後絶対に英語が必要だと思い直して勉強する覚悟を決めました。

会社の同期が立ち上げた英会話サークルに参加してみる

とはいえ全然英語も話せないし、Googleに入れるほどの知恵もスキルも持ち合わせていなかった僕は、大学を卒業後、新卒で楽天に入社しました。2010年の楽天といえば、ちょうど社内英語公用語化が始まった年で、僕が入社した時にはすでに三木谷さんは英語でスピーチをしていました。楽天の英語化は僕にとっては単なる偶然だった(就職活動をしていた2009年時点でまさか英語化するとは思ってもみなかった)のですが、これは僕の社会人人生にとって最も幸運な出来事の一つでもありました。

というのも、楽天がグローバルでの採用を強化していたこともあって、同期入社の社員の中には少なからず外国人や帰国子女がいました。そんな中、ひときわ意識の高そうな同期が「各々がビジネスに関するトピックを持ち寄ってそれについて英語で議論するサークルを立ち上げる」と言っていて、たまたまその会話に居合わせていたというだけの理由で、そのサークルに混ぜてもらえることになったのです。その後、毎週土曜日の朝10時からお昼の12時まで、英語が達者な同期たちと英語が全然できない僕がなんだか小難しいトピックについて議論するという日々が始まり、結局それを1年くらい続けました。

議論どころかそもそも英語で人と会話したことなどほとんどなかったので、相手が何を言っているのかわからなければ、何か言いたいけど何と言えばいいのかわからない、というところからのスタートです。本当に今思うと酷いレベルでよく一緒にやらせてくれたなあと、同期には感謝しかないです。そんな環境にいたおかげか、とにかく周りのレベルに追いつかねばという思いで、地道に単語を覚えたり、自分で文章を組み立ててみたりということを繰り返し、少しづつ英語に慣れていきました。

サンフランシスコで3ヶ月くらい働いてみる

英語が公用語だと言いつつも、実態として現場はほぼ日本人なわけで、楽天での最初の2年くらいは普通に日本語で仕事をしていました。そんな中転機が訪れたのが2012年。楽天が買収したアメリカ企業のサンフランシスコオフィスで、3ヶ月間普段の業務とは離れてチーム開発を学べる研修プログラムが始まりました。社内公募の開始と同時に迷わず応募し、当時サンフランシスコのチームを率いていたマネージャーが日本に来たタイミングで面接などを受け、運よく(技術力は全然ダメだったけど多少英語が上達していたのが幸いして)その研修に参加することができました。

サンフランシスコでは英語とプロダクト開発の両方を同時に学ぶことができ、とても刺激になりました。これをきっかけに、技術関連のドキュメントをまず英語で読んでみたり、英語で技術的なコミュニケーションをとること対する抵抗が少なくなったりと、色々な変化がありました。また研修後、マネージャーから「大人しすぎるからもっと発言した方がいい」というフィードバックをもらったことが身にしみました。英語が上手いとか下手とか関係なく、とにかくまず発言する量を増やさないと評価の土俵にすら立てないなと思うようになり、自分から積極的に話すことを心がけるようになりました。

半分外国人のチームで3年くらい働いてみる

サンフランシスコから帰国後、2013年の初めには、日本人半分、外国人半分で構成されたチームへの異動が決まりました。この時点では、だいぶ英語での会話に(上手くないなりに)慣れていたので、仕事中も同僚と英語で話す機会が増えてきます。

毎日チームのメンバーと一緒にランチに行っていたので、仕事中以外でも英語に接する時間が多くなりました。会話について行けなくて心が折れそうになったりすることは日常茶飯事でしたが、同僚がとにかく皆優しかったのと、よくよく考えると外国人の同僚のほとんどはそもそも英語がネイティブではなかったり、日本という異国の地に来て彼ら自身の母国語+英語+日本語勉強中みたいなステータスだったので、彼らに比べると自分の悩みがとても小さなものに思えたのが良かったです。この頃一緒に働いたチームメンバーには技術面でも働き方の面でもすごく影響を受けたので、とてもいい経験になりました。

外資系の企業に転職して2年くらい英語だけで働いてみる

そんなこんなで3年くらい同じチームで働いていました。さすがに3年もやってると英語もそこそこ話せるようになります。この頃には英語で仕事をすることにほとんど不安はなく、さらに別の会社でも力試しをしてみたいと思うようになりました。転職を視野に入れてLinkedInのプロフィールを書き、英語のResume(職務経歴書)を作って、Cracking the Coding Interviewの問題を1問1問解きながら、アメリカの企業10社ぐらいに応募するなどをしてみます。

これは今考えると本当に無駄でしかないのですが、アメリカの企業で働くにはそもそも就労VISAが必要なので、応募したところで並のソフトウェアエンジニアが面接などにたどり着けるわけがありません。この手の話題は「アメリカ ソフトウェアエンジニア ビザ」とかでググると山ほど出てきて、すでに語り尽くされてる感があるのですが、以下の記事なんかを読むといかにこれが2010年代後半の現代において無理ゲーであるかがわかるのでおすすめです。

アメリカに行くのは諦めて方向転換し、日本にいながら英語を使いつつ、さらに技術力を活かせそう、高められそうという観点でいくつかの企業に応募し、結果的にGILTというアメリカ発の企業で、ファッションEコマースのサービス開発に携わることができました。GILTはプロダクト開発を担当するほぼ全員が外国人で、文字通り公用語が英語な環境でした。仕事をする上ではほとんど不自由はなかったので自信を深めた一方、ここでも英語がネイティブでないフランスやイタリア、オランダ人の同僚と比べて自分のレベルの低さに絶望しつつ、彼らとの業務やプライベートでの交流を通じて少しずつ表現の幅を広げられるようにしていきました。

東京ニューヨーク間14時間時差ありリモートで働いてみる

そして今に至ります。今はニューヨークのQuartzの開発チームと一緒に、東京からリモートで開発する日々を送っています。一緒にとは言いつつも、実際はニューヨークと東京は時差が14時間(夏は13時間)もあるので、日中にリアルタイムでコミュニケーションをとることはほぼ不可能です。たまに出張で現地に行ったりもしますが、基本はリモートなので対面よりもはるかにコミュニケーションが難しいこと、そもそも土地も言語も文化も違う2つの国の開発チームが一緒にサービスを作ること、買収後チームが統合されて間もない中で新たにサービスを開始しなければならないことなど、毎日ハードな問題に直面しています。

このような状況においては、もはや英語力がどうこうというのは大した問題ではないと思っていて、エンジニアとしてのスキルや経験に加え、コミュニケーションや人間性といったその人ならではの個性の組み合わせによってどうビジネスを支えていくか、世の中にインパクトを与えていくかという点のみが試されていると感じています。もちろん英語は継続して学んでいくことになりますが、今はとにかくNewsPicksとQuartzが一体となってサービス作りに取り組めること、そしてQuartzがこれまで以上に経済メディアの世界を牽引する存在になることを目指してやっていきます。

最後に

NewsPicksは5年後、世界で最も影響力のある経済メディアになるという目標を実現するための仲間を募集しているので、興味のある方はぜひご連絡ください。